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彼女は、ただ待っている。
もう時計の時間も気にならなくなった。
足を少しだけ投げ出すようにして、
柱に寄りかかる。
ブラウン色のブーツを投げ出す。
それでも、「新宿」方面の電車がやってくるたび。
体を起こして彼の到着を待つ。
「どんなにおそくても。来てくれるなら。。」
彼女は思う。
もう、クリスマスの時間が少なくなっていくことなんて。。
気にしない。
と・・・。
「渋谷〜」
駅員の声がこだまするホーム。
彼は、人ごみを かきわけるけるようにして、
ホーム前方の階段へ早足で向かう。
気持ちのはやりを抑えるように言い聞かせて、
前の人のペースに合わせて歩く。
階段をやっとのように下る。
そして、目の前の交番方面の改札でなく、
東急デパート方面の「ハチ公口改札」に出る。
それは。。
彼女なら、ここで待っていそうな気がしたからだ。
『エピローグ』
「やっぱり。。」
彼の思ったとおりだった。
彼女が探しだす前に、彼が先に見つける。
白いコート姿に、ブラウン色のロングブーツ姿の彼女を見つけた。
彼は自動改札に定期券を翳して、通り抜けると。。
彼女に駆け寄る。
「ごめん。。待った・・?」
彼は、沙雪に誤る。
「うん。待った。。」
沙雪は、隼人(はやと)に嫌な顔一つ見せない。
微笑みを返す。
「だから。言っただろう・・・先に行っていろ。。って。。
夕方にメールしたじゃないか・・
寒いだろう・・ここにいたんじゃ・・・」
「うん。でも、ひとりで先に行くより。。
一緒に行ったほうが良いから・・・」
彼女は思う。
ハチ公が待っていた。
すっと、待っていた本当の理由を・・・。
「きっと、きっと。私と同じなんだ・・・」
と。。。
「メリークリスマス・・・」
次へ。
へ へ
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