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第3章 日曜日にそよぐ風
1
僕は夢を見ていた。
いつかのあの日の場面を見ている。
けれど。肝心の部分が見えない。
それが見たいわけではない。
でも・・・。今は・・・。その時よりは見てみたいのだろう。と思う。
ストーリーは知っている。
起きたことは知っている。
けれど、起きた場面の映像が浮かばない。
実際に目にしていないから・・・。
響く悲鳴。
後方へ逃げる人だかり。だけが浮かび上がる。
そして。夢は終わる。
あの日と全く正反対に目を開けたことで・・・。
2
僕は目を覚ました。
窓のカーテンを開ける。
昨夜は早めに眠った。
母が帰ってきたのは早かった。
午後7時には夕食をとり、風呂に入り、来たメールにリプライしてからはすぐに眠った。
午後11時にはベッドについていた。
時計を見やると午前6時を示している。
僕はベランダにでる。
あいかわらず、ハトやすずめ、小鳥たちが飛び交う。
群れをなさないで飛ぶ鳥もいれば、大所帯のもいる。
なかでも、すずめの声がよく通る。
伸びをして、いつもの様に下を眺める。
今日は日曜日。週末の朝らしく、忙しさを感じない。
もう、新聞配達員のバイクもない。
行き交う車はどうか遠くへ出かける家族連れくらいだろう。
空は今日も晴れた。
朝の空気は見渡す限りの青い空を透き通らせて、太陽のあかりを一層にまぶしく見せる。
僕は夕方よりも朝の風景が気に入っていた。
ほのじろむ朝がこの上なくキレイな空と思えた。
星がかすかなあかりを見せて、太陽が昇る前のひととき。
空気は冷たく、あたまをクールダウンさせてくれる。
僕はベランダの柵に腕を乗せた。
ひんやりとした感触が心地よい。
僕はふと、思いついた。
「久しぶりに出かけようか?」
なぜか。そう思った。
いつか。行ったあの公園。
湖に似せたいかにも人工的な池のある公園。
ゆりこと行こうと思った。
午前中。僕は自室からゆりこに電話した。
彼女の家に電話しても良かったのだが、携帯電話の方がかけやすかったので、
携帯から携帯へかけて、午後2時に待ち合わせることにした。
待ち合わせは合理的に「駅前」にした。
それまでの空いている時間。
僕は、来斗たちの居る地下室へ行こうか。とも考えたが、
それにしては時間が半端になりそうだったので、
待ちあわせまでの空き時間をPCに向かうことにする。
どうも、暇があると卓上のPCの電源に手が伸びる。
たまっていた「ちりデータ」をキレイに掃除してやったり、
簡単な表計算のマクロを組んでみたり・・・。
あとで物理の授業に役立つように・・・。との思いからだ。
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